歯のケガ
慌てずに適切な処置を


  歯のケガというと、からだの他の部分のケガに比べるとその頻度は少ないように感じます。しかし、歯を抜くことになってしまった原因のなかでは、歯のケガが20%程度を占めていて、歯の健康を損なう大きな要因のひとつといえるでしょう。
ケガによって、歯が折れたり、抜けたりした場合でも、適切な処置をとれば回復することは可能です。今回は、歯のケガの対処法を中心に書いてみたいと思います。
歯のケガ まず歯が折れた場合ですが、このときは折れた歯を探して、できるだけ早く歯科医院へ持っていってください
歯ぐきから出ている部分で折れている場合は、元の位置に接着することが可能です。うまく接着できない場合は、レジンという材料で修復したり、かぶせ物をしたりすることになることもあります。
神経が出ている部分で折れてしまったときは、その部分を保護してから接着・修復します。

もっと深いところで折れている場合は、元の位置に戻したあと、両隣の歯と固定して回復を試みることもあります。
歯が半分抜けてグラグラする場合も、歯科医院で元の位置に戻し両隣の歯と数週間固定します。
 最後に、歯が完全に抜け落ちてしまったときですが、この場合は、まず自分で、あるいは周りの人に頼んで、歯を元に戻せるか試みましょう。元に戻せない場合は、できるだけ早く歯科医院に行って、他の場合と同様に、元の位置に戻し両隣の歯と固定してもらいます。その際の抜けた歯の取り扱いには注意してください。抜けた歯の歯根膜は、放っておくと30分くらいで死んでしまい、そうなると元の位置に戻しても回復する可能性が低くなってしまうからです。
抜けた歯を扱うときの注意点は、以下のとおりです。
根の部分は触らない。
水道水で洗う場合は15秒以内に。
乾燥させないように口の中に含んでおくか、生理食塩水、または牛乳の中に入れて保存する(水道水等普通の水は不可)


歯のケガは、多くの場合、同時に口の中や唇が切れて出血するので、本人も周りの人もそちらに注意が行きがちですが、折れたり抜けたりした歯の処置には迅速さが大切なので、こちらにも気をくばりましょう。